NHKの朝ドラ『ばけばけ』に出てくる雨清水三之丞(うしみず さんのじょう)は雨清水家の三男。ヒロインの松野トキより2歳年下です。
家族の中でどこか居場所がない。そんな複雑な思いを抱えた青年です。
この記事では、雨清水三之丞の人物像や演じる板垣李光人さんの魅力、ドラマの注目ポイントをまとめてご紹介します。
雨清水三之丞は「心に寂しさ」を抱えた三男
家族の期待を受けずに育った
三之丞は武士の家である雨清水家の三男として生まれました。当時は、家を継ぐ長男がとにかく優先。そのため特に役割を与えられない三男の三之丞は家の中で自分の存在が薄いと感じてきました。
幼いころから家族からの期待や愛情を十分にもらえず、心の奥にはいつも寂しさや孤独感を抱えて育っています。
家族構成と三之丞の立場
雨清水家は三之丞の性格や行動に大きな影響を与えています。
- 父:雨清水傳(うしみず でん)
松江藩の位の高い武士。家を継ぐ長男を中心に家族を仕切り、伝統や家のルールを重んじる厳格な父。明治になってからは事業で成功。 - 母:雨清水タエ(うしみず たえ)
松野家の親戚で作法や茶道などに厳しいトキを指導してきました。雨清水よりもさらに格の高い家から嫁いで来たのでプライドが高い。 - 長男
家を継ぐ人として家族の期待を一身に背負っています。 - 三男:雨清水三之丞(うしみず さんのじょう)
家の中で居場所が限られた存在。複雑な感情を抱えています。
隠された心の叫び
三之丞は人前では無邪気で明るく振る舞い、場を和ませることも得意です。でもその明るさは仮面のようなもの。心の奥には自分の居場所がないという思いや、劣等感が隠れています。
時折見せるひねくれた態度や皮肉っぽい言い方は彼が抱える孤独や寂しさの裏返しなのです。
時代に翻弄されて成長する青年
ドラマでは、長男がいなくなったり父親が病気になる、といった理由で家業の危機が訪れます。そんなときに突然、三之丞が責任を負う立場に立たされます。
しかし家業について何も学んでこなかったため、焦りや戸惑い、何もできない自分への情けなさを感じ、さらに苦しみます。
三之丞の魅力はどこにある?
事前の紹介を見るとなんだか不安になる部分もありますが。三之丞の魅力は繊細な心にあるのではないでしょうか。
- 繊細で思慮深い:寂しさや劣等感を抱えつつ、自分なりの居場所を探そうともがく姿がえがかれるのではないでしょうか?
- 明るさの裏の複雑さ:人前での明るさと、内に秘めた複雑な感情のギャップが、彼の個性になるかもしれません。
- 成長物語:家族や仕事で悩みつつ、どのように生きていくのか注目です。
板垣李光人さんが演じるからこそ
板垣李光人さんは、繊細な感情を丁寧に表現することに高い評価があります。三之丞のように感情を内に秘めて家族や時代の波に揉まれる青年の役は板垣さんにぴったりではないでしょうか。
三之丞の葛藤、寂しさ、成長の物語がきっと私たちの心に伝わる演技をしてくれると思います。三之丞がどう自分の道を見つけるのか。注目ですね。
モデル人物:小泉藤三郎とは

小泉藤三郎のイメージ
雨清水三之丞には実在のモデルがいます。それがヒロイン・松野トキのモデルとなった小泉セツの弟・小泉藤三郎です。
彼は江戸時代から明治にかけての松江藩士族の家庭に三男として生まれました。
期待されず、自由に生きた青年
藤三郎は三男という立場でした。そのため家を継ぐ長男や次男と比べると、家族からの期待はほとんどなかったと言われています。
家業に深く関わることもなく、自由に遊んで過ごすことが多かったようです。そのせいで姉のセツが母や家の面倒を見なければならない場面も生まれたとか。
セツが結婚した後も、生活費やお金を求めてセツの元を訪ねたことが、セツの著書『思ひ出の記』に書かれています。このエピソードからも、藤三郎が自由奔放で、少し無責任な面があったようです。
姉セツとの複雑な関係
晩年のセツは弟の藤三郎は絶縁状態になったと振り返っています。
このことから、家族との距離感や、それぞれの価値観のズレが彼の人生を通してずっと続いていたことがわかります。
藤三郎は家のしがらみや期待に縛られず自由に生きた人。しかし、その生き方は、姉や家族との間に複雑な感情を残すことになりました。
三之丞のリアリティの源
こうした史実が雨清水三之丞のキャラクターに深く影響しているのではないでしょうか?
家族の中に居場所を見つけられない三男、寂しさや葛藤を抱える姿、そして時々見せるひねくれた態度や無力感。これらは藤三郎の生き方や、彼と家族との関係性がもとになっているのかもしれませんね。
個人的な注目点:雨清水三之丞のこれからは?
家の危機にどう立ち向かうか?
史実の小泉藤三郎は家業には関わらず遊んで暮らす道楽息子で、家の危機に直面しても何もできませんでした。
ドラマの雨清水三之丞はどう描かれるのでしょうか?放送前のインタビュー記事などでは家の危機で急に仕事を任され戸惑うとされています。彼はいったいどんな行動をとるのでしょうね?
- 頑張るけれど結果が出せないのか
- それとも本当にやる気がないのか
このあたりの描写が三之丞のキャラクターの魅力を深める重要なポイントになりそうです。
親戚として描かれる姉との関係は?
史実では小泉セツが姉で藤三郎とは実の弟でした。ドラマでは現状では三之丞とトキの関係は親戚という設定になっています。物語の進行とともに、姉弟であることが明かされる日が来るのかも注目ポイントです。姉弟という血縁が明らかになることで、三之丞の心理や家族との関係にどんな変化が訪れるのか、ファンとしては見逃せません。
姉弟の関係は?
史実では藤三郎は結婚後のセツに金銭を求めたり、絶縁状態になったりと、姉の関係はあまり良好ではありませんでした。ドラマの三之丞も姉や家族との距離感や複雑な思いを抱えながら成長していくはずです。どの程度まで史実の雰囲気を踏襲するのか、あるいはドラマならではの感情表現や関係性の変化が描かれるのか──この点も大きな見どころです。
雨清水三之丞を演じるのは板垣李光人さん
雨清水三之丞を演じるのは、今注目の若手俳優、板垣李光人(いたがき りひと)さんです。
三之丞は居場所がなく、内向的で複雑な心を持つ三之丞という役。板垣さんは、まさにその繊細な感情を表現することに定評があります。
雨清水三之丞(うしみず さんのじょう):#板垣李光人
雨清水家の三男でトキの2歳下。兄が家督を継ぐため自身は特に役目がない。
家の中に居場所がないため、トキたちの仕事場に入り浸っている。#ばけばけ #9月29日スタート pic.twitter.com/pbnyrkR4aR— 朝ドラ「ばけばけ」公式|9月29日(月)放送開始 (@asadora_bk_nhk) August 6, 2025
役については「世間知らずに見えるけれど、心の奥では葛藤を抱える三之丞を少しのおかしみを交えながら演じたい」と語っています。
これが朝ドラ初出演となる板垣さんですが、大河ドラマには何度か出演しています。
主な出演作には、
- 『花燃ゆ』(2015年)幼少期の吉田寅次郎
- 『青天を衝け』(2021年)徳川昭武
- 『どうする家康』(2023年)井伊直政
があります。
これまでも大河ドラマで歴史上の人物の幼少期や青年期を丁寧に演じてきた経験を持つ板垣さん。内面の葛藤や繊細さを表現する力は、高く評価されています。彼の豊かな表現力と、キャラクターの内省的な面が重なって三之丞の孤独や成長を演じてくれるのではないでしょうか。
歴史人物を演じた経験が豊富な板垣さんは三之丞という複雑な役柄にピッタリですね。
まとめ
雨清水三之丞は、家族の中で居場所を探し、時代の変化に翻弄されながらも少しずつ自分の道を模索する人物です。史実の小泉藤三郎の逸話を背景にしつつ、ドラマでは彼ならではの葛藤や成長が丁寧に描かれています。
板垣李光人さんの繊細な演技によって、三之丞の寂しさや迷い、時にはひねくれた感情までもがリアルに伝わってきます。家族との距離感や姉との関係の変化など、細やかな心理描写から目が離せません。
これから物語が進む中で、三之丞がどのように家族や自分自身と向き合い、成長していくのか──その行く末を、一緒に見守りたいですね。
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