NHK朝ドラ『ばけばけ』の松野勘右衛門はヒロイン・松野トミの祖父。幕末に青春を過ごし明治を生き抜いた武士です。孫トキに愛情深く接する姿は印象的な“ラストサムライ”。
史実モデルの稲垣万右衛門は化政文化華やぐ江戸時代を経験、幕末の混乱期を生き延びました。明治維新後は没落しますが養女セツを可愛がり、明治31年に松江で80歳で没しました。小泉八雲の名付け親です。
松野勘右衛門とは?『ばけばけ』トキの祖父

ばけばけ 松野家系図
松野勘右衛門はヒロイン・トキの祖父。彼は孫のトキを「おじょ」と呼んでとても可愛がっています。
武士の時代が終わっても、その誇りを手放せない“ラストサムライ”のような人。明治になってもちょんまげを結い、剣の稽古を続けるほどです。剣の腕も確かで誰にも負けない自信を持っています。
だからこそ変化していく世の中に馴染めず、頑固な武士としての道を歩むのでしょう。
孫のトキにはめっぽう甘く優しい一面も。そのギャップに、つい惹かれてしまいます。
でもいつまでも武士の気持ちが抜けきらないため、時代の流れについていけません。その頑なな姿勢はトキの結婚にも影響を与えてしまいます。
外国人教師のヘブンを「ペリー」と呼んで、木刀を振り回す場面もあるようです。もちろん彼はヘブンがペリーではないと分かっています。武士の誇りを馬鹿にするな、という強い気持ちがそうさせたのでしょう。
しかし、頑なな心も徐々に解けていきます。武士へのこだわりよりも家族への愛情がだんだんと大きくなっていくようです。彼がどう変化していくのかも見所になるかもしれませんん絵。
史実モデル・稲垣万右衛門とは

稲垣万右衛門のイメージ
松野勘右衛門のモデルとなったのは、小泉セツの養祖父・稲垣万右衛門です。
万右衛門は1818年(文政元年)に生まれ、江戸の化政文化が華やかだった時代に青春を過ごしました。
松江藩の武士で家禄100石を持ち幕末の混乱期を生き抜いた経験から、明治になっても武士としての誇りを大切にしていました。
明治維新後は職を失い没落したものの、家族への愛情や教養は変わらず、養女のセツを「お嬢」と呼び可愛がって育てました。
万右衛門は明治31年(1898年)に松江市で80歳で亡くなっています。
彼の人物像や価値観はドラマの松野勘右衛門の「剣術に長け、武士の誇りを守りながらも孫に優しい祖父」というキャラクター設定に大きく影響しているようですね。
小泉八雲の名の由来
また万右衛門はラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が日本に帰化する際に「八雲」と命名しました。
「八雲」は『古事記』の出雲にまつわる枕詞
「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣つくる その八重垣を」
『古事記』
に由来し出雲の文化や精神を象徴しています。
もしかするとこの名前には、異国から来たハーンを地域に迎え入れ、家族の一員として認める意味も込められていたのかもしれませんね。
彼は八雲に命名した2年後に80歳で亡くなっています。
松野勘右衛門の注目ポイント
時代に取り残された男がどう変化するのか?
松野勘右衛門は、典型的な江戸時代の武士として生きてきた人物です。しかし、明治という新しい時代の中で、武士としての誇りと家族への愛情の間で少しずつ変化していきます。剣術や髷へのこだわりを維持しつつも、孫トキや家族を守るために柔軟さを見せる姿は、視聴者にとって大きな見どころです。
異人のヘブンへの対応は?
また、偉人嫌いで外国人に厳しい一面を持つ勘右衛門が、外国人教師ヘブンとどう向き合うのかも注目ポイントです。娘が女中として働くことに対する複雑な思いや、家族を守ろうとする心情が、ドラマの中でどのように描かれるのかも見逃せません。
ドラマでもヘブンに命名するのか?
さらに史実では、勘右衛門はラフカディオ・ハーンに「八雲」と名前を命名しました。ドラマでも同様の場面が描かれるのでしょうか?
もしそうなったら彼のヘブンへの想い、出雲の文化に対する誇りがどのように表現されるかも、視聴者にとっての注目ポイントとなりますね。
松野勘右衛門を演じるのは小日向文世さん
松野勘右衛門役を演じるのは、名優小日向文世さん。朝ドラへの出演は実に10年ぶりで、ファンにとっても話題のキャスティングです。
松野勘右衛門(まつの かんえもん):#小日向文世
トキの祖父。
幕末をたくましく生き抜いた生粋の武士。
明治になっても、この国を守るのは自分だと信じ、髷(まげ)を結い、剣の稽古を続ける“ラストサムライ”。トキにはめっぽう弱い。#ばけばけ #9月29日スタート pic.twitter.com/uiQb8qhU2h— 朝ドラ「ばけばけ」公式|9月29日(月)放送開始 (@asadora_bk_nhk) August 5, 2025
小日向文世さんは、衣装合わせで丁髷(ちょんまげ)のかつらをかぶった際、「朝ドラで髷!?」と驚きつつも、役としての面白さを実感したと語っています。さらに、髷を結い続ける武士としての誇りや、孫トキを可愛がる祖父像に深い愛着を感じているそうです。
松野勘右衛門は強く誇り高い一面を持つ一方で、孫に優しい人間味あふれる姿が描かれるのではないでしょうか。
こうした祖父の姿を通して家族の温かさや時代の移り変わりを感じられるのが、ドラマの見どころのひとつとなりそうです。
まとめ
松野勘右衛門は古き良き武士。剣の腕は一流で、武士としての誇りを何よりも大切にしています。でも明治という新しい時代の変化には対応できません。でも孫のトキにそそぐ深い愛情や、家族を思う優しい気持ちもまた彼の大きな魅力です。
モデルとなった稲垣万右衛門も同じでした。養女のセツを心からかわいがり、あの小泉八雲に「八雲」という名を贈るなど、家族や故郷である出雲の文化を深く愛していました。
ドラマではそんな人間味あふれる祖父を小日向文世さんが演じます。武士としての誇りを持ち、時代の変化に戸惑いつつも家族を大切にする勘右衛門の姿がぐっと身近に感じられるはずです。勘右衛門がどのように描かれるのか楽しみです。
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この記事では松野勘右衛門について紹介しました。『ばけばけ』には他にも個性的な人物が登場します。登場人物の背景を知ると、物語をさらに深く楽しめますよ。
気になる人物像や史実モデルを合わせてチェックしてみてくださいね。
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