NHK朝ドラ『ばけばけ』のイライザ・ベルズランドは、実在のジャーナリスト・エリザベス・ビスランドをモデルに描かれています。
史実の彼女は、ラフカディオ・ハーンの日本行きを勧め世界一周競争でも活躍した女性です。ハーンの来日後も文通を続け、死後には妻セツと協力して公式伝記を完成させました。
本記事では、史実のエリザベス・ビスランドの生涯と活躍、そしてドラマ『ばけばけ』でのイライザの役どころを詳しく紹介します。
イライザ・ベルズランドとは
イライザ・ベルズランド女はアメリカの新聞社でバリバリ活躍しているアメリカ人女性記者です。主人公のヘブンとは日本に来る前の職場の同僚です。
イライザは頭が良くて世界を飛び回る行動力があり「完璧な女性」として描かれています。彼女は自立した強い女性で新しいことにもどんどん挑戦してく人物のようです。
ドラマの中では、ヘブンに日本で現地取材をしてみてはと提案します。松江にいるヘブンとは手紙で連絡を取り合うようですね。
ヘブンの人生に深く関わるのはもちろん、トキにも影響を与えていくとのこと。一体どんな活躍を見せてくれるのか、本当に楽しみな人物です!
モデルは エリザベス・ビスランド
イライザ・ベルズランドのモデルは実在のジャーナリスト エリザベス・ビスランド(Elizabeth Bisland)です。

エリザベス・ビスランド
エリザベス・ビスランド, Public domain, via Wikimedia Commons
アメリカの女性記者 エリザベス・ビスランド
エリザベス・ビスランド(Elizabeth Bisland Wetmore)は、1861年2月11日に生まれ、1929年1月6日に亡くなったアメリカのジャーナリストで編集者です。
彼女はアメリカのルイジアナ州、セントメアリー郡の出身。南北戦争の後の苦しい生活の中で育ちましたが10代の頃にはもう文章を書き始めていました。
ジャーナリストの道へ進むきっかけを作ったのは、あのラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の記事でした。ハーンの書いた「死んだ花嫁」という記事に心を動かされ、彼が働いていたニューオーリンズの新聞社「タイムズ・デモクラット社」に入社。そこでハーンと親しくなっています。
1891年には法律家のチャールズ・ホイットマン・ウェットモアと結婚しましたが、作家としての活動は旧姓で続けました。
世紀の「世界一周競争」
ビスランドの名前を一躍有名にしたのは、1889年から1890年にかけての「世界一周競争」でしょう。
これは、同じ時代に活躍した女性記者、ネリー・ブライとの世紀の対決でした。ブライをニューヨーク・ワールド紙が、そしてビスランドを雑誌『コスモポリタン』がそれぞれ送り出したのです。
ビスランドはニューヨークを西回りで出発。約76日半というスピードで世界を一周しました。
この競争の途中、ビスランドは日本にも立ち寄り、2日間という短い滞在でしたが芝東照宮(現在の東京都港区)を見て心から感動したそうです。彼女は日本の様子を親友のハーンに伝え、この経験が後にハーンが日本へ渡ることを勧めるきっかけの一つになったと言われています。
残念ながらブライが72日で達成したため競争には一歩及びませんでした。でもこの旅の体験は雑誌で連載され、その後『In Seven Stages: A Flying Trip Around The World』というタイトルで本にもなり、大きな話題を呼びました。

エリザベス・ビスランドのイメージ
ラフカディオ・ハーンとの深い絆
ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)との関係
エリザベス・ビスランドとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は、お互いの才能を認め合い、深い敬意を持って接していました。ハーンはあまり人と親しくなるのが得意ではない人見知りな性格でしたが、ビスランドとは生涯にわたって交流が続きました。
彼女がジャーナリストの道を歩み始めたのは、ハーンの記事を読んだことが直接的なきっかけと言ってもいいでしょう。
ハーンが日本行きを決めるのにはいくつかの理由がありましたが、その一つに、ビスランドから日本のことを聞き、強い関心を持ったことが挙げられます。
さらにビスランドはハーンが日本で活動できるようサポートをしました。たとえば日本での協力者となるミッチェル・マクドナルドを紹介するなど、情報提供や協力者の仲介を通じて文化の橋渡し役を見事に果たしたのです。
八雲の死後も途切れなかった交流
ハーンが日本に来てからも、二人は手紙でのやり取りを欠かしませんでした。互いに意見や情報を交換し続ける、大切な友人でした。
ハーンの訃報に接したビスランドは、妻の小泉セツにすぐさま追悼の手紙を送りました。その後もセツの協力を得ながら、ハーンの日本での活動や日常を伝える記録をまとめることに尽力します。
公式伝記『ラフカディオ・ハーンの伝記と書簡集』の出版
ハーンの死後、ビスランドは公式伝記となる『ラフカディオ・ハーンの伝記と書簡集(The Life and Letters of Lafcadio Hearn)』を出版しました。
この制作にあたってはセツに協力を依頼、彼女が書いた原稿を盛り込み、マクドナルドやチェンバレンといった関係者の協力も得て完成させています。出版後、セツは「我が家の宝物として大切にします」と大変喜び、本の収益は全てセツのもとへ送られ彼女の生活を支えました。セツの原稿は、後に『思ひ出の記』としても出版されています。
このようにビスランドはただのジャーナリストという枠を超え、ハーンとセツの感動的な物語を後世に伝えるという、とても重要な役割を果たしました。
注目したいドラマのポイント
NHK朝ドラ『ばけばけ』で登場するイライザ・ベルズランドは史実のエリザベス・ビスランドをモデルにしています。ドラマをもっと楽しむために、注目したいポイントをいくつか紹介します。
ハーンの来日のきっかけがイライザだった?
史実ではラフカディオ・ハーンが日本に行く理由はいくつかありますが、その中のひとつにエリザベス・ビスランドによる勧めがあったとされます。
ドラマでもこの場面が再現される可能性が高く、イライザとハーンのどのようなやり取りが描かれるかが注目です。ドラマのイライザはヘブンに何を語るのでしょうか?そしてヘブンはどんな反応をするのか注目です。
日本滞在後の交流
史実ではビスランドはハーンの来日後も文通を続け、情報交換を行っていました。ドラマでも来日後のハーンがイライザに手紙を書く場面が描かれるようです。史実ではビスランドがハーンの死後に日本を訪れ、妻セツと会っています。
もしかするとドラマでは手紙の交換だけでなく、イライザが日本にやってきてヘブンやセツと直接会うシーンがあるかどうかも注目ポイントです。
ヘブン(ハーン)の伝記作成の場面
史実ではハーンの死後にビスランドがセツの協力を得て伝記『ラフカディオ・ハーンの伝記と書簡集』を完成させています。ドラマでヘブンの伝記を書く場面があるかどうかも注目したいですね。
演じるのはシャーロット・ケイト・フォックスさん
NHK朝ドラ『ばけばけ』でイライザ・ベルズランドを演じるのは、シャーロット・ケイト・フォックスさんです。フォックスさんは『マッサン』『べっぴんさん』に続き、連続テレビ小説に出演する経験豊富な外国人俳優で、朝ドラファンにもおなじみの存在です。
現在は結婚してアメリカで暮らすシャーロット・ケイト・フォックスさんですが、このドラマのために5年ぶりに来日して撮影を行ったそうです。
📢新たな出演者のお知らせ
【朝ドラ『ばけばけ』出演者紹介】アメリカで活躍する女性記者でヘブンの同僚
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— 朝ドラ「ばけばけ」公式|9月29日(月)放送開始 (@asadora_bk_nhk) August 20, 2025
シャーロット・ケイト・フォックスさんは、2014年放送のNHK連続テレビ小説『マッサン』でヒロイン・エリー役を務め、日本の視聴者に強い印象を残しました。エリーはスコットランド出身の女性で、実業家・竹鶴政孝の妻として日本に渡り、日本初のウイスキーづくりに挑む役どころです。
フォックスさんは外国人俳優として日本語での演技に挑戦し、言語や文化の壁を乗り越えて自然な日本語表現を披露しました。その演技力と表現力は高く評価され、朝ドラ史上初の外国人ヒロインとして大きな話題を呼びました。
フォックスさんは今回、知的で自立した女性記者として描かれるイライザを演じるにあたり、「自立した強く知的な女性役は初めてで、演じること自体がとてもわくわくしています」とコメントしています。またヘブン役のトミー・バストウさんとの関係性についても、「二人が揃うとまるでハリウッドのようで、演じるのが楽しい」と語っています。
フォックスさんの演技は、物語の中でイライザがヘブンに日本での取材を提案したり、手紙で情報を伝える場面に説得力を与え、視聴者にイライザの知性や行動力を強く印象づけます。ドラマの魅力を引き立てる重要な役柄として、フォックスさんの演技は欠かせない存在となりそうです。
まとめ
NHK朝ドラ『ばけばけ』に登場するイライザ・ベルズランドは、実在したアメリカ人ジャーナリスト、エリザベス・ビスランドをモデルにしたキャラクターです。
彼女が主人公のヘブン(ラフカディオ・ハーン)に日本行きを勧めたり、ヘブンと手紙で交流したりするのは現実のビスランドの人生そのまま。ドラマでも重要なエピソードとして描かれます。
史実では世界一周旅行をしたりと行動力のある彼女ですが、ドラマでも世界を駆け巡る行動的な女性として設定されています。ドラマでもヘブンやセツにどんな影響を与えるのか楽しみにしたいです。
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気になる人物像や史実モデルを合わせてチェックしてみてくださいね。
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