べらぼう:冨永愛さん演じる高岳は実在する?松平定信との因縁とは?

高岳は江戸時代の大奥の老女。

10代将軍・徳川家治、11代・徳川家斉の時代に大奥の筆頭老女として活躍し、幕政にも大きな影響力を持っていました。

松平定信の老中就任に反対し、大奥と幕政の対立を象徴する人物として知られています。

この記事を読むことで、高岳の生涯、大奥の政治力、そして幕府内の権力闘争について理解することができます。

 

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高岳の生涯:大奥を掌握した女傑

高岳は実在した女性です。江戸時代の大奥で実際に権力をもっていました。

主に10代将軍・徳川家治、11代・徳川家斉の時代に大奥の筆頭老女として活躍しました。

華麗なる大奥への登り階段

高岳の出自や生年については詳しい記録が残されていません。

しかし、10代将軍・家治の宝暦期にはすでに高い地位にいました。

宝暦(ほうれき)
1751~1764年。

 

大奥の御年寄として松島局に次ぐ実力者としてその名を馳せていたことがわかっています。

御年寄(おとしより)
大奥で上から3番め。上位2つは名誉職的な意味が強いので、実務を仕切る幕府女中ではトップクラス。

 

その後、明和期に入ると彼女は見事大奥の筆頭老女に昇り詰め、その地位を確立します。筆頭老女とは大奥の最高位に立つ女性であり、大奥の運営を統括する重要な役割を担っていました。

老女(ろうじょ)
幕府女中のトップクラスの役職。上臈御年寄、小上臈、御年寄を老女といいます。

 

高岳はますます将軍や側室たちの信頼を厚くし、大奥内で絶大な権力を持つようになります。

 

権力と影響力

高岳の権勢は大奥内部にとどまるものではありませんでした。当時の政治にも大きな影響力を持っていたと言われています。

仙台藩主との関係:明和2年(1765年)、仙台藩主・伊達重村は自身の官位昇進を図るため、高岳や老中筆頭・松平武元、老中・田沼意次・意次の息子・田沼意誠に賄賂を贈りました。この時、高岳は重村に桜田御用屋敷内に自身の家を増築させました。

幕政への関与:高岳は大奥の筆頭老女という立場を活かし、幕政にも間接的に関与していたと考えられます。大奥の意見は将軍の意思決定にも影響を与えます。とくに幕府の人事をめぐっては大奥の力が無視できないため、様々な人々から取次を依頼されることもあります。

幕府表方との対立:吉宗の享保の改革以来、大奥の出費を減らすことが重要なテーマになっていました。家治時代も例外ではなく、松平武元や田沼意次は大奥に経費削減を求めています。でも高岳たちにとっては大奥の生活水準を落とすのは受け入れにくいので、様々な駆け引きが起こります。

田沼意次の失策で影響力を増す

田沼意次は大奥を懐柔して自分の政権を安定させようとしました。ところが田沼意次が推薦した医師が投薬したところ将軍・家治の容態が悪化

この件以来、大奥の発言力がアップ。

高岳たち老女は幕政にまで口を出すようになっていました。

 

老中に並ぶ幕府の権力者

明和年間の幕府の実力者は。老中首座・松平武元、老中・田沼意次、そして上臈御年寄・高岳といわれるほどの力を持っていました。

 

高岳と松平定信の対立:大奥と幕政のせめぎ合い

松平定信の老中就任に反対

天明7年(1787年)。松平定信が老中に就任する際、大奥の筆頭老女であった高岳と御年寄の滝川はこれに強く反対しました。

高岳たちが反対した理由

定信の実妹・種姫の存在: 定信の実妹・種姫が、10代将軍・徳川家治の養女になり。11代将軍・家斉とは姉弟の関係になっていました。9代将軍・家重は「将軍家の縁者は幕政には参加させない」と決めていました。

定信は種姫の兄」なので将軍家の縁者になり内規に違反すると反対しました。

松平定信の改革に警戒:松平定信は白河藩で吉宗の享保の改革を参考にした改革を成功させ、すでにその実績が知られていました。定信が老中になれば当然、幕府の改革を行います。大奥は定信が今まで以上に大奥にも倹約を求めてくると警戒したのです。

大奥の権力維持: 高岳をはじめとする大奥の女性たちは、長年にわたって幕政に影響力を及ぼしてきました。定信の老中就任はこの大奥の権力基盤を揺るがす可能性があると危惧されたのです。

その結果:反対も虚しく松平定信が老中に

松平定信の老中就任には田沼派も老女と同じように家重の決めた内規を理由に反対しました。

それに対して御三卿・一橋治済は「定信の場合は、むしろ保科正之が家綱の伯父として大老になったのに近い」と言って反論。

さらに天明の打ちこわしの責任を取らされ田沼派の重臣が次々と失脚

結局、御三家御三卿に押し切られる形で彼らが支持する松平定信が老中になりました。

松平定信

松平定信は老中首座なったばかりか奥勤も兼ねさせられました。

大奥としては松平定信が老中首座だけでなく大奥まで担当するとは最悪です。

松平定信は就任後に大奥の老女に挨拶。

このとき老女たちは

長く勤めるように。
と答えました。もちろん嫌味です。
それに対して松平定信は
2、3年務めたら辞任するつもりです。
と答えたと言いますが。これも嫌味です。
大奥老女と松平定信は嫌味の応酬をしていたわけです。

松平定信の大奥対策

10代家重・11代家治は自分で政治をする意欲が弱く側近任せになりがちでした。側近だけでなく、大奥老女が幕政に介入カネとコネで幕府の政治が左右するようになっていました。

松平定信は大奥の政治介入を阻止しようと側近を大奥の対応にあたらせたり、将軍自ら政治に意欲をもつように教育を行ったり様々な手段を行いました。

松平定信は大奥に次のようなことを命じます。

  • 今以上の倹約。
  • 大奥から表向きに関わる請願は却下。
  • 賄賂の禁止。
  • 人員削減。

こうして松平定信は倹約して貯蓄を増やすだけでなく、大奥の政治や人事への介入を防ごうとしました。

老中暗殺疑惑

松平定信への大奥の反発は大きく。服部半蔵は老中・松平定信に

大奥女中が毒殺を企んでいるという噂があるので殿中では湯を飲まないように。

と報告してきました。

高岳たちが本当に定信を暗殺しようとしたとは思えませんが。そんな噂が流れるくらい大奥の人々は松平定信を恨んでいたのです。

高岳が大奥を去る

松平定信は大奥も改革を行うとともに障害になる女中を更迭。

家斉の乳母を務めたこともある大崎が、将軍の女中と御台所の女中を対立させたことが原因で更迭されました。

そして、高岳滝川といった家治時代に力を持っていた老女たちも大奥から退くことになるのでした。

その後の高岳がどうなったのかはわかりません。しかしすでに多くの財をもっていた高岳ですから引退後も生活に困ることはなかったでしょう。

こうして大奥の実力者を排除した松平定信は大奥の改革を進め、大奥の経費を3分の1にまで削減しました。

 

大河ドラマ「べらぼう」の高岳(たかおか)

高岳を演じるのは冨永愛さん

大河ドラマ「べらぼう」では冨永愛さんが演じる「高岳(たかおか)」は大奥の最高責任者

「べらぼう」と同じスタッフが作った男女逆転版「大奥」にも将軍・吉宗役で出演。馬を乗りこなし存在感のあるところを見せ、将軍としての姿もキマっていました。

今回は史実を元にしたドラマということで、極端なアレンジはないかもしれませんが。

高岳は大奥でも最も権力をもつ人物で大奥存続のため老中とも対等に渡り合います。

ドラマ「べらぼう」の高岳に期待

冨永愛さんが演じる高岳が、渡辺謙さん演じる老中・田沼意次石坂浩二さん演じる・老中首座・松平武元といった大物相手にどのような駆け引きをするのか楽しみです。

高岳は大きな力を持っていた割には史料が少ない人物。それだけに自由に演出できる幅が広がります。数少ない史実を基にしながらもドラマオリジナルの要素が加わり、見ごたえのある高岳像が誕生するかもしれませんね。

冨永愛さんの熱演にも期待です。

 

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ドラマの高岳

大奥 NHK・2023年、演:相島一之
大奥 フジテレビ・2024年 演:田中道子
べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜 NHK大河ドラマ・2025年 演:冨永愛

 

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