あんぱん:中沢元紀さん演じる柳井千尋 のモデルは やなせたかし の弟

柳井千尋は NHK朝ドラ「あんぱん」に登場する人物です。

主人公 柳井嵩(やないたかし)の弟という役どころで、幼少期は体が弱かったものの成長するにつれて文武両道の心優しい青年へと成長します。

千尋を演じるのは俳優の中沢元紀さんです。

この記事ではドラマでの千尋の人物像と、千尋のモデルとなったやなせたかしさんの実弟、柳瀬千尋さんの生涯について解説します。

 

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「あんぱん」柳井千尋とは?

柳井千尋は主人公・柳井嵩(やないたかし)の弟です。

幼少期は体が弱く兄の陰に隠れるような存在でしたが、成長するにつれて家族思いで優しく文武両道の青年へと成長します。

演じる中沢元紀さんは千尋を「強くて逞しく、細かな気遣いもできる心の優しい青年」と語っています。

成長した千尋は弱々しかった子供の頃と違い、兄にとっても眩しく逞しい弟になるのでしょうね。

兄の柳井嵩はのちに「アンパンマン」の作者となる漫画家・やなせたかしがモデル。千尋は、そんな兄を支え時に励ます心強い存在となっていくではないでしょうか。

 

柳井千尋 役は中沢元紀さん

柳井千尋を演じるのは、俳優の中沢元紀(なかざわ げんき)さんです。

 

 

生年月日:2000年2月20日
出身地:茨城県
身長:183cm
趣味:映画鑑賞、料理
特技:ハンドボール、書道

2022年に俳優デビュー。その年のフジテレビ系ドラマ「ナンバMG5」では連続ドラマに初出演。2023年9月には映画「沈黙の艦隊」で映画デビューしました。

2023年10月にはTBS系ドラマ「下剋上球児」でエースピッチャー・犬塚翔役を演じて注目を集めました。

2024年11月公開の映画「ファストブレイク」では主演を務め。テレビ東京系ドラマ「ひだまりが聴こえる」で小林虎之介さんと共に主演を務めました。

中沢元紀さんはまだ若い俳優さんですが着実にキャリアを重ね活躍の場を広げています。

また「あんぱん」の出演については

「僕にとって、朝ドラに出演することは役者としての一つの大きな目標だったので、出演が決まった時は心の底からうれしかったです」

出典:公式サイト – あんぱん – NHK

コメントしています。嬉しさがこちらにも伝わるようですね。その熱量で中沢元紀さんが柳井千尋をどのように演じるのかとても楽しみです。

 

「あんぱん」柳井千尋のモデル 柳瀬千尋

生い立ちと家族構成

柳瀬千尋は「あんぱん」の作者 やなせたかし(柳瀬嵩)の実の弟です。

柳瀬千尋の家族構成
父: 柳瀬清(やなせ きよし)
母: 柳瀬登喜子(やなせ ときこ)
兄: 柳瀬嵩(やなせ たかし)(後の やなせたかし)
伯父: 柳瀬寛(やなせ ひろし)
伯母: 柳瀬キミ(やなせ きみ)

 

幼少期:体が弱く女の子のように育てられる

幼少期は体が弱く、兄・嵩(たかし)の陰に隠れるような存在でした。

幼い頃の千尋はおかっぱ頭で赤い服を着せられ女の子のような格好で育てられました。それは体の弱い子は女の子として育てたほうがいいという迷信と、女の子が欲しかったという両親の思いがあったからです。

 

3歳のとき父が死亡、伯父の養子になる

伯父の柳瀬寛・キミ夫婦には子供がいませんでした。そこで父・清の生前から千尋が養子になることは決まっていました。

千尋が3歳、嵩が5歳のとき父・清が死亡。千尋は寛の養子となり母や兄とは別れて暮らすことになります。

兄の嵩は母・登喜子の元で育てられました。

寛は高知県後免町(現在の南国市後免町)の町医者。寛・キミ夫婦は3歳の千尋をとても可愛がり、我が子として育てました。

千尋も寛とキミを「お父さん」「お母さん」と呼んでいました。

後に母・登喜子が再婚。兄・たかしも寛・キミ夫婦のもとで育てられることになりました。

 

チャンバラごっこでも兄を守って戦う

千尋と嵩が暮らす後免町(現在の高知県南国市後免町)には道信山(どうしんやま)という小さな丘がありました。そこは戦国時代に戦国大名の長宗我部氏が戦った古戦場でした。

千尋と嵩はよくそこでチャンバラごっこをしました。やっているうちに本気になって兄弟喧嘩になることもありましたが。町の子も一緒になって戦い出すと、千尋はいつも嵩の味方をしていました。

兄ちゃん、死ぬときは一緒だよ
と言って体の大きな子にも立ち向かっていく兄思いの弟でした。
 

兄より優秀になる弟

千尋は中学生になるころには丈夫な体になり嵩も所属している柔道部に入部。千尋はどんどん上達して柔道二段に。嵩は初段にもなれませんでした。

千尋はスポーツ万能。成績も優秀。おまけに明るい性格で容姿もなかなか。女子生徒からラブレターを貰うこともありました。

一方の嵩は成績でも運動能力でも弟に負け。容姿でも自信のなかった嵩は弟にコンプレックスを持つようになります。

千尋は柳瀬家の跡継ぎ。嵩は部屋住みと勝手に引け目を感じていたので。嵩は千尋が眩しく思えてしまいます。

中学生の多感な嵩はそんな弟に辛くあたることもありました。

でも嵩から見れば何の悩みもなさそうな千尋にも葛藤はありました。

 

嵩の知らない千尋の葛藤

あるとき嵩が千尋が普段読んでいる本を見てみると一枚の写真が挟んでありました。それは実の父「清」のものでした。

3歳で寛夫妻の子になり「お父さん」「お母さん」と慕っていた千尋ですが「清」が実の父なのは知っていました。千尋はほとんど清の記憶はないはずですが、実の父を想う気持ちはあったのです。

嵩は時々実の母の所に遊びに行っていました。千尋はそれも知っていました。でも千尋は

「兄ちゃんはいいよ。でもぼくは行けない。ここのお父さんとお母さんに申し訳ないし、ぼくは柳瀬家の跡継ぎだから」

と言って母に会いに行こうとしません

千尋は実の両親への想いを抑えつつ伯父夫婦の子として生き、苦しい想いをかかえていたのです。

嵩はそんな苦しみを抱える千尋が気の毒に思えてきました。

 

最初で最後の兄からの小遣い

兄の嵩は旧制中学(現在の高等学校)に進学すると漫画に興味を持ち、懸賞に応募して賞金をもらいました。獲得した賞金10万円の中から嵩は千尋に3万円を小遣いとして与えました。

すると千尋は「すまんな兄貴、また頼むよ」と少し大人っぽい口調でいいました。

嵩はこのときのやり取りがとても印象に残ったらしく。後に回想。あのときもっとたくさんやればよかった。もっと弟を喜ばせたかったと後悔したということです。

というのも嵩が千尋に小遣いを与えたのはこのときが最初で最後でした。

 

伯父・寛の急死

成績優秀な千尋は高知高等学校(現在の高知大学)に進学。嵩は東京高等工芸学校(現在の千葉大学工学部)に進学しました。

ところが伯父・寛が危篤。東京の嵩に電報を打ちましたが。嵩が戻ってきた頃には寛は亡くなっていました。

普段は大人しく千尋も、このときばかりはかつてない厳しさで

兄貴、遅い!

と言います。それに対して嵩は何も言い返せませんでした。

開業医は激務ながら、養子の千尋と嵩をやさしく何不自由なく育ててくれました。そんな伯父を想い千尋と嵩は兄弟で声を出して泣きました。

 

兄さんはきっと偉くなる

伯父・寛は自由な生き方を選ばせる人でした。家業の医者を継げとは強制しませんでした。

旧姓高知高等学校を卒業した千尋は京都帝国大学法学部に進学。帝大生になった千尋に親戚一同も期待していますが、嵩の行く末には不安を感じていました。

でも千尋は「兄さんはきっと偉くなる人だ」と兄の可能性を信じていました。

 

戦争で海軍へ

しかし戦争のため、1943年(昭和18年)に繰り上げ卒業が決まりました。このままいけば陸軍に徴兵されます。そこで千尋は海軍予備学生に進学しました。

海軍予備学生は試験も難しいのですが、卒業すれば予備少尉となります。一兵卒から始まる徴兵よりは待遇はいいです。

海軍予備学生になった千尋は機雷学校に進みました。これは軍艦に乗って敵潜水艦との戦闘を指揮する指揮官を育てる学校です。

 

最後の姿

学校を卒業して仕官になった千尋は出撃前に小倉で陸軍の訓練を受けている嵩に会いに行きました。

海軍士官の立派な姿に嵩は驚きましたが千尋は

こんなのは猿芝居だ
と冷めた言葉。千尋も戦争がどうにもならないことはわかっていたのでしょう。

さらに千尋は

ぼくはもうすぐ死んでしまうが、兄貴は生きて絵を描いてくれ

と言って帰りました。

後に嵩は千尋の様子から「人間魚雷・回天」の任務についたのではないかと思ったそうですが。実際には駆逐艦に乗っての船団護衛でした。でもそれは敵の潜水艦が待ち構える中を進むとても危険な任務でした。

 

危険な任務

千尋は 駆逐艦 呉竹に配属されました。

駆逐艦呉竹

駆逐艦 呉竹

出典:wikipedia

駆逐艦 呉竹は大正11年建造と旧式ですが。そんな古い船でも速度が早く使い勝手がいいので重宝がられていました。

駆逐艦 呉竹は日本とシンガポール方面の資源地帯を往復する輸送船団の護衛をしていました。船を狙う敵国の潜水艦から船を守るのが仕事です。

千尋の役目

千尋は潜水艦の出す音をソナーでキャッチ、敵の居場所や距離を調べる係の指揮官。

仕事室もソナーに近い船の底にあります。重要な役目ですが、もし船が攻撃を受けたら船底にいる者が助かるチャンスはほぼありません。危険な職場です。

 

千尋の最後

1944年(昭和19年)。千尋の乗った駆逐艦呉竹はシンガポール方面の資源地帯に向かう輸送船団を護衛していました。

12月30日。駆逐艦呉竹が台湾とフィリピン・ルソン島の間にあるバシー海峡に差しかかったとき、アメリカ軍の潜水艦 レザーバック と ゼグントの攻撃を受けました。

この攻撃で呉竹が護衛していた輸送船 乾城丸が沈没。呉竹にも魚雷命中。呉竹は沈没してしまいます。

艦長の吉田宗雄少佐以下乗組員は戦死。千尋も逃げるまもなく戦死しました。

バシー海峡の位置

バシー海峡の位置

 

千尋の遺骨は遺族の元には戻りませんでした。

叔母・キミのもとに届いたのは名前の書いた木札と階級章の入った白木の箱だけでした。

戦後。復員した嵩はキミから千尋の死を聞かされました。そして木札を入れた骨壺を柳瀬家の墓に収めました。そこは子供の頃に二人でよく遊んだ坂道を登ったところにありました。

嵩は時間とともに弟のことを想うようになりました。

千尋は何をしたかったのだろう。
きみのかわりにやるとすれば、ぼくは何をすればいいのだろう

と思うようになったということです。

 

柳瀬千尋が「アンパンマン」に与えた影響

後に兄は漫画家 やなせたかしとなりました。

柳瀬千尋はやなせたかしの作品にも大きな影響を与えたかもしれません。千尋の死後、やなせたかしは「何のために生きるのか」を深く考えるようになります。

晩年、やなせたかしは「アンパンマン」を描きました。

最初のアンパンマンは現在と違い顔はアンパンではなく丸顔で長身の人間として描かれていました。

やなせたかしは意識したわけではなかったようですが、描いてみるとその姿は千尋に似ていると気づきました。

知らず知らずの間にヒーローに千尋の姿を重ね合わせていたのかもしれません。

後に「アンパンマン」は長身の人間ではなく、顔がアンパンで出来たディフォルメされた姿になります。

でも心優しく皆から慕われる人気者の姿は千尋のイメージに重なるのかもしれません。

 

まとめ

柳井千尋は朝ドラ「あんぱん」の主人公・柳井嵩(やないたかし)の弟。実在する人物の柳瀬千尋をモデルにしています。

幼少期は病弱でしたが成長するにつれて文武両道の青年へと成長しました。兄・嵩にとっては時に支え時に励ます心強い存在です。

千尋を演じるのは、俳優の中沢元紀さんです。

モデルとなった柳井千尋もスポーツ万能・成績優秀で女性にもモテる人物でした。兄弟仲もよく、嵩にとっても眩しくもあるけれどもいつも味方になってくれる弟でした。でもそんな千尋は戦死してしまいます。

となると中沢元紀さん演じる柳井千尋も同じ運命になってしまうのでしょうか?とても気になるところですね。

 

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