【風、薫る】一ノ瀬りんのモデルは大関和・ 共通点と違いを解説

朝ドラ『風、薫る』ダブルヒロインの一人、一ノ瀬りんのモデルになったのは、日本の近代看護の礎を築いた実在の女性、大関和(おおぜき ちか)です。

ドラマの中で描かれる「一ノ瀬りん」が、史実の大関和とどのように重なり、あるいはドラマ独自の魅力としてどう脚色されているのか。共通点と違いを紹介していきます。

 

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朝ドラ『風、薫る』の一ノ瀬りんはどんな人物?

ドラマの一ノ瀬りんはどのような人物なのか紹介します。

まっすぐで理想に燃える「正統派」

一ノ瀬りんは、看護の道を真剣に進もうとする人物です。

彼女の判断基準は「己の良心に恥じないか」ことであり。まっすぐで青く臭い部分もあります。それだけに時には視野が狭くなることも。

もう一人のヒロイン・大家直美が現実を直視して時にはしたたかに立ち回る「リアリスト」であるのに対し、りんは理想や信念を何よりも重んじる「理想主義者」として描かれます。

自分が正しいと信じた看護のあり方を、周囲とぶつかってでも貫こうとする強さが彼女の魅力と言えそうです。

看護を「志」として捉える強さ

明治という女性が専門職を持つこと自体が難しかった時代。彼女にとって看護婦という職業は単なる生活の糧ではありません。しかも看護婦は賤業として見下されていた時代。

そんな時代に「病に苦しむ人を救いたい」という純粋な志を原動力に、厳しい修業や現場の困難に立ち向かう。そのひたむきな姿はきっと見ている私たちの心をうつにちがいありません。

 

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モデルとなった大関和はどんな人?

ドラマ『風、薫る』の主人公、一ノ瀬りんのモデルとなったのは実在した看護師 大関和(おおぜき ちか)です。

彼女はまだ看護師という職業が一般的でなかった時代に生きた非常にバイタリティに溢れた人物でした。

当時の社会背景と共に、彼女がどのような人生を歩んだのか、3つのポイントで詳しく解説します。

エリート教育を受けた「武家の娘」

大関和は1858年(安政5年)、下野国黒羽藩(現在の栃木県大田原市)の武家の家に生まれました。幕末から明治への激動期を十代で経験した彼女は、非常に高い向上心を持っていました。

異例の語学学習:23歳で上京し、「正美英学塾」で英語を学びました。当時の女性が英語を学ぶのは極めて珍しく、新しい知識を吸収しようとする進取の気性に富んでいたことがわかります。

キリスト教との出会い:塾の創設者である植村正久からキリスト教の教えを受け、これが彼女の「献身」の精神的な土台となりました。

日本初の「ナイチンゲール方式」養成所の一期生

彼女が看護の道に入ったのは28歳の時。当時の看護は、まだ専門職としての教育体制が整っていない時代でした。

桜井女学校附属看護婦養成所:1886年、アメリカ人宣教医セオドラ・カスマンによって設立されたこの養成所に、第一期生として入学します。

最先端のカリキュラム:ここではナイチンゲールの思想に基づいた本格的な教育が行われました。座学だけでなく、現在の東大病院(帝国大学医科大学第一医院)での実地訓練を含む厳しい2年間の課程を終え、1888年に卒業しました。

「現場・教育・執筆」の三刀流で看護を確立
卒業後の彼女の功績は、今の看護制度の基礎そのものです。

活動分野 具体的な功績
現場 帝国大学医科大学第一医院の外科で「看病婦取締(看護師長のような役職)」を務めた後、新潟の知命堂病院で初代看護婦長に就任。
教育 看護婦養成所の基礎を作り、多くの後進を育成。感染症対策や公衆衛生の普及にも尽力しました。
執筆 現場の経験を体系化し、『派出看護婦心得』や『実地看護法』を刊行。文字として「看護の技術と心構え」を残しました。

 

ドラマとのつながり:なぜ「一ノ瀬りん」のモデルなのか

大関和が活躍した明治時代、看護婦という仕事は「賤業」と呼ばれ「身の回りの世話をする下働き」と見なされがちで、社会的地位は決して高くありませんでした。

そんな中、大関和は「看護は専門的な技術と高い倫理観を必要とする崇高な仕事である」という信念を持って行動し続けました。

ドラマの一ノ瀬りんが周囲の偏見に抗いながら「正しい看護」を追求する姿は、まさにこの大関和の「専門職としてのプライド」を現代の私たちに伝えるために描かれているのです。

一ノ瀬りんと大関和の共通点

一見すると「明治時代の看護師」という共通点だけのように思えますが、深掘りしてみると、ドラマが大関和のどの部分を「魂」として受け継ぎ、どの部分が脚色されているのかが見えてきます。

 日本初の「正規教育」を受けた看護師

大関和:1886年に日本で初めてナイチンゲール方式の看護教育を導入した「桜井女学校附属看護婦養成所」の一期生です。

一ノ瀬りん:ドラマでも、単なる「お手伝い」ではない、学問と技術に基づいた「新しい看護」を学ぶ先駆者として描かれます。

共通の魂:「看護は専門職である」という強い自負。これが二人の最大の共通点です。

 「利他」の精神とキリスト教的博愛

大関和:植村正久から洗礼を受け、信仰に基づく献身を捧げました。

一ノ瀬りん:りんの「困っている人を放っておけない」「命は平等である」という強い倫理観は、大関和が持っていた博愛精神をベースにしています。

女性の自立を体現する生き方

共通点:明治という「家」の力が強い時代に、自らの意志で学び、職業を持って自立する。二人は「新しい時代の女性像」の象徴として重なります。

一ノ瀬りんと大関和の「違い」

ここはドラマを面白くするためにえて変えられている部分です。

性格のデフォルメ(強調)

大関和:記録に残る彼女は、知性的で落ち着いた教育者・指導者としての側面が強い人物です。

一ノ瀬りん:ドラマでは視聴者が応援したくなるような天真爛漫で真っ直ぐな性格。時に純心であるがゆえにときには視野が狭くなりがちな所もあります。「己の良心に恥じない」が生き方で、理想を追い求めるあまり周囲と衝突する青さは、ドラマオリジナルの魅力といえるかもしれません。

朝ドラの正統派ヒロイン的な味付けがされているようです。

大家直美(ライバル)との「バディ関係」

史実:大関和には鈴木雅という志を共にする仲間がいました。でもドラマのような「正反対の性格で、激しくぶつかり合うライバル」という劇的な関係性とまえではいえません。

ドラマの意図:直美という「リアリスト」を置くことで、りんの「理想主義」「まっすぐさ」がより目立つように設定されているようです。

なぜ一ノ瀬りんは大関和と「少し違う」のか

「近代看護の理想」を背負う象徴にするため

大関和の功績は非常に多いですが、それらをすべて忠実に描こうとすると、ドラマというよりは「近代看護史の再現ドキュメンタリー」になり、内容が硬くなってしまいがちです。

そこで一ノ瀬りんというキャラクターに、大関和が目指した「看護の理想」を象徴する役割を託したのでしょう。

一人の若い女性の成長物語に置き換えることで歴史的な偉業を身近な成長物語として感じられるよう工夫されているのだと思います。

大家直美との違いをドラマチックにするため

このドラマは二人のヒロインがぶつかり合いながら自分の人生を生きていく物語です。この「バディ構造」を成立させるには、二人のカラーをはっきりと分ける必要があります。

一ノ瀬りんが青臭いほどの「理想主義者」であればあるほど、もう一人のヒロイン、大家直美が持つ「現実的な判断」や「したたかさ」が際立ちます。

りんが少し極端なほど真っ直ぐに描かれているのは、二人の関係性が生むドラマをより面白くするための演出と言えると思います。

当時の過酷な壁を「実感」してもらうため

大関和が生きた明治時代は看護婦はまだ社会的地位が低く、偏見の目にさらされていました。この歴史的事実をナレーションで説明するのは簡単ですがドラマではりんの葛藤を通して描かれるはずです。

彼女が悩み、傷つきつつ立ち上がる姿を映し出すことで、近代看護を切り拓くのがどれほど困難で、どれほど凄い挑戦だったかを、現代の視聴者がわかるように描かれると思います。

まとめ:一ノ瀬りんに受け継がれた大関和の魂

朝ドラ『風、薫る』の一ノ瀬りんは大関和という日本で近代的な看護師という職業を根付かせた偉大な人物をモデルにしています。

一ノ瀬りんはもう一人のヒロイン・大家直美ほど史実と離れた設定ではありませんが。それも朝ドラの正統派ヒロインらしく、まっすぐで理想を追い求めるキャラクターとして脚色されています。

大関和の功績をもとにしつつ、現代の私たちが共感できるように再構成されたキャラクターのようです。

実際にドラマが始まるまではまだわからない部分もありますが。近代看護の始まりの時期を駆け抜けた彼女たちの物語がどのように描かれるのか楽しみにしたいですね。

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