座間晴斗(ざま はると)はNHK朝ドラ「あんぱん」で主人公・柳井嵩に「自分らしい絵を描くこと」を教える教師です。
演じるのは数々の名作で知られるベテラン声優・山寺宏一さん。
東京高等芸術学校の教師・座間晴斗は自由で型破りな人物。彼の教えは絵や芸術だけでなく、生き方にも影響を与えます。
座間晴斗のモデルになったのが、やなせたかしさんが東京高等工芸学校時代に出会った恩師・杉山豊吉先生です。
本記事では座間晴斗とはどのような人物なのか?そしてモデルとなった杉山豊吉先生とやなせたかしの繋がりを紹介します。
あんぱんの座間晴斗とは?
朝ドラ「あんぱん」で 柳井嵩(やない たかし)が通う東京高等芸術学校で教師をしているのが 座間晴斗(ざま・はると)です。
自由で型破りな人物で嵩に「自分らしい絵を描くことの大切さ」を教えます。1)
座間晴斗の教えは嵩にとって絵や芸術だけでなく、生き方や人生の考え方にも影響を与える大きなもののようです。
劇中ではまるで呪文のようだという「図案科の歌」というのを教えるそうで1)、これはモデルになったやなせたかしが学校で歌を教わったエピソードが元になっています。
座間晴斗は「生き方、人生の考え方の基本を教えてくれた恩師」という設定からも、物語の序盤から嵩の成長に大きく関わる重要な人物なのは確かでしょう。
座間晴斗の具体的な性格や特徴的な言動はまだ明らかになっていませんが、モデルとなったやなせたかしの恩師・杉山豊吉の人物像を参考にすると、温厚で情熱的な教育者だと想像できます。
生徒一人ひとりの個性や才能を尊重し厳しさの中にも愛情を持って指導する、そんな教師なのではないでしょうか。
やなせたかしの人生の中でも芸術学校での生活は楽しかった思い出のひとつのようです。嵩との心温まる交流が描かれるのではないでしょうか。
ドラマの中では芸術に対する熱い想いを語る場面や、人生に迷う嵩を優しく励ますシーンなどが描かれるかもしれませんね。
他にも芸術の基礎を教える中で単なる技術だけでなく、表現することの喜びや難しさ、そして何よりも「何のために描くのか」という根源的な問いを投げかけるような場面もあるかもしれません。
また、嵩が自身の才能に自信を持てずに悩む時期に、座間晴斗がその才能を見抜き、励まし、導くといった、師弟関係ならではの心温まるエピソードも期待されます。
座間晴斗は芸術の教師という枠を超え、嵩の人生のおける羅針盤のような存在となるはずです。
座間晴斗が嵩にどのような影響を与えるのか楽しみです。
座間晴斗のモデル:杉山豊吉とは?
東京高等工芸学校の教師
「あんぱん」に登場する教師・座間晴斗にはモデルになった実在の人物がいます。
それは、やなせたかしさんが青春時代を過ごした東京高等工芸学校(現在の千葉大学工学部)の担任教師だった杉山豊吉(すぎやま とよきち)先生です。
杉山豊吉先生の生年月日や詳しい経歴については、残念ながら公にされている情報は多くありません。
でもやなせたかしの回顧録やインタビューなどから、その温かい人柄と生徒たちへの深い愛情が伝わってきます。
自由な発想
やなせたかしさんにとって杉山豊吉先生はどのような存在だったのでしょうか?
入学したばかりで緊張気味のやなせたかし達学生に対していきなり
「図案科に入ったからといってデザイナーにならなくてもいい、小説家でもタップダンサーでも何でもいい」
と言って励ましました。その自由で洗練された話にたかしは感動したといいます。
杉山先生は教室だけに籠もって指導するような教師ではありません。
「本当に吸収すべきは机の上ではなく街にある」と言って学生たちを銀座の街に連れていきました。
銀座で最先端を吸収・感性を磨く
当時の銀座は日本の流行の最先端の街です。それほど豊かとはいえなかった当時の日本でも銀座は別世界。ネオン輝く流行の最先端の街でめかしこんで歩けばちょっとした映画スターの気分が味わえる。
銀座に集まるのも有名な芸能人から店の店員、喫茶店のウェイトレスや花売り娘から物乞いまで様々な人達がいて、良くも悪くも活気溢れる街でした。
その中にこそ学ぶべきものがあると杉山先生は学生たちに教えたといいます。たかしは最先端の文化や様々な人に出会い、たかしの感性は磨かれていきました。
商業科で教えるデザインとは
商業科で教えているのはただの芸術ではありません。美術館や金持ちの家にある絵画とは違い、実際の世の中に出て人の目に触れるデザインです。
商品の外観にしろ、ポスターにしろ、パッケージにしろ奇抜すぎて人々に支持されないのでは意味がありません。新しいけれども理解できる・いいと思える。絶妙な塩梅が必要でした。
そこで杉山先生は街に出て実際に何が受けているか確かめるのもデザイナーには必要だと考えていたのでした。
図案科の歌
嵩が通う東京高等工芸学校 図案科には歌がありました。
先輩学生から後輩学生に着け注がれた歌です。
「ワッサワッサワッサリンノ モンチキリンノホイ…」で始まる一見すると意味不明の歌でした。わけがわからないけど、歌っているとなんだか楽しくなるそんな歌だったようです。
ドラマの中ではこれを座間晴斗が嵩たちに教えるようです。
やなせたかしは、杉山先生から多大な影響を受けました。それは、単に絵の技術や知識を教わったというだけでなく、生き方や考え方といった、人生の根幹に関わる部分においても大きな影響を与えられたようです。
また杉山先生の授業は生徒たちの自由な発想を大切にするものでした。型にはまった教育ではなく、個性を伸ばすことを重視していたそうです。
このような先生との出会いが、やなせたかしの豊かな創造性を育んだのかもしれません。
座間晴斗を演じるのは山寺宏一さん
山寺宏一さんといえば、アニメ「アンパンマン」のジャムおじさんをはじめ、数々のキャラクターの声を務めてきた、まさに声優界のレジェンド。
その唯一無二の声は、多くの人々に親しまれています。
アニメ作品:
「ルパン三世」銭形警部(2014以降)、「エヴァンゲリオン」加持リョウジ、宇宙戦艦ヤマト(リメイク版)「デスラー」など多数。
「アンパンマン」ではチーズ、ジャムおじさん、カバ夫、かまめしどんなどを担当。山寺宏一さんには直接・やなせたかしさんと会ったことがあり「アンパンマン」には思い入れも深いようです。
吹き替え:
ジム・キャリー、エディ・マーフィー、ウィル・スミスなど多数。
近年はドラマにも出演
連続テレビ小説
「半分、青い」医師
「なつぞら」豊富遊声
「おかえりモネ」遠藤克敏
大河ドラマ:
「鎌倉殿の13人」慈円
他にもナレーションやテレビ番組の司会など様々な分野で活躍されています。
今回の朝ドラでは声だけでなく、その豊かな表情と繊細な演技で嵩の恩師としての温かさや芸術に対する真摯な姿勢を表現しています。
まとめ
朝ドラ「あんぱん」に登場する座間晴斗は、山寺宏一が演じる主人公・柳井嵩の恩師。
モデルはやなせたかしの東京高等工芸学校時代の教師・杉山豊吉。自由な発想を重んじ、「自分らしい絵を描くこと」を教えた杉山先生同様、座間も嵩に大きな影響を与えます。
演じる山寺は「アンパンマン」でジャムおじさんなど多くの声を担当するベテラン声優。「アンパンマン」には思い入れがあるようなのでその演技にも注目ですね。
参考書籍
1)『NHKドラマ・ガイド あんぱん Part1』NHK出版、2025年、p.103。

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