朝ドラ『ブラッサム』は、作家・宇野千代をモデルにした葉野珠の人生を描く物語です。
でも、なぜ宇野千代をモデルにした朝ドラのタイトルが『ブラッサム』なのでしょうか。
「ブラッサム」と聞けば、やはり花を思い浮かべます。実際、ドラマのタイトルロゴやポスター、オープニングにも桜が使われています。制作統括の村山峻平さんは、このタイトルに「咲き誇れ、わたし」というメッセージを込めたと説明しています。
さらに宇野千代自身も晩年、「幸福の種をまく、花咲ばあさんになりたい」という趣旨の言葉を残していました。
こうして見ていくと、『ブラッサム』の「咲く」は、葉野珠が作家として成功することだけを指しているわけではなさそうです。自分で人生を選び、自分なりの花を咲かせ、その生き方や言葉が次の誰かにも届いていく。そこまで含めて『ブラッサム』なのでしょう。
朝ドラ「ブラッサム」とはどんな意味?
英語の「blossom」には「花」「開花」という意味があります。動詞では「花が咲く」という意味になり、人の才能や魅力が開花する場合にも使われます。「cherry blossom」といえば桜ですね。
宇野千代をモデルにした葉野珠が、さまざまな経験をしながら作家になっていく物語ですから、「才能が花開く」という意味だけを考えても『ブラッサム』という題名はよく合っています。
でも制作側が何度も使っているのは、ただの「開花」ではなく「咲き誇る」という言葉です。
作家として有名になることだけが「咲く」のではなく、自分はどう生きたいのかを考え、自分で選んだ人生を生きることまで含めて「咲く」と表現しているのではないでしょうか。
タイトルに込められた「咲き誇れ、わたし」
NHKドラマガイド「ブラッサム・part1」によると、制作統括の村山峻平さんは『ブラッサム』というタイトルについて「咲き誇れ、わたし」というメッセージを込めたと説明しています。
葉野珠が生きるのは明治から昭和にかけての時代です。現在と比べれば、女性が進学や仕事、結婚について自分だけの意思で決めるのが難しい時代でした。さらに珠の人生には戦争や震災など、本人にはどうにもできない出来事も起こります。
そんな時代に「私はどうしたいのか」「私はどう生きたいのか」を諦めず、自分で選んでいく。それが制作側のいう「咲き誇れ、わたし」なのでしょう。
そう考えると、『ブラッサム』というタイトルは単に作家や事業家として成功する話を意味するのとは違うのがわかります。周囲から求められた人生ではなくて自分が選んだ人生を生きようとすること。その姿そのものが葉野珠の咲き誇ることなのだと思います。
「咲き誇れ、わたし」から「咲き誇れ、あなた」へ
番組に込められたメッセージとして「咲き誇れ、わたし」の先には「咲き誇れ、あなた」という言葉もあるといいます。
まず自分自身が自分で選んだ人生を生きる。それが「咲き誇れ、わたし」です。でも、自分らしく生きる人の姿を見て「自分もやってみたい」「自分もこう生きていいのかもしれない」と思う人が出てくることもあるかもしれません。
自分が花を咲かせてその姿が次の誰かに届く。それが「咲き誇れ、あなた」につながっているのでしょう。
ここで思い出されるのが、モデルになった宇野千代本人の言葉ですね。
幸福の種をまく花咲ばあさんになりたい
宇野千代は晩年「幸福の種をまく、花咲ばあさんになりたい」という意味の内容を語っていました。
個人的に面白いと思うのは直接、幸福の花を届けるのではなくはなく幸福の種をまくと表現しているところです。
種をまいても、その場ですぐに花が咲くわけではありません。受け取った人が育てていつか別の場所で花が咲きます。でもどのように育てるのかは本人次第です。
宇野千代が作った幸福の形ではなくて彼女をきっかけにして、その人なりの幸福を咲かせてほしいということではないでしょうか?
宇野千代自身が幸せになるだけでなくて、自分の経験や言葉によって誰かにも幸せになってもらいたい。そんな考えが「幸福の種をまく」という表現になっているのだと思います。
まず自分が咲いて、その姿や言葉を受け取った別の誰かが咲くという。宇野千代が晩年に語った「花咲ばあさん」の言葉を考えると『ブラッサム』というタイトルが選ばれた理由もわかるような気がします。
宇野千代は人生で何度も新しい花を咲かせた
宇野千代の人生を見ていると「ブラッサム」という言葉が似合う理由はほかにもあります。
宇野千代は山口県岩国で生まれて若いころに故郷を離れました。その後はさまざまな土地で暮らしながら仕事をして小説を書き、作家として知られるようになります。
しかも活動は小説だけに限りませんでした。雑誌『スタイル』を創刊して出版の仕事を始め、ファッションにも関わり、着物のデザインも手がけました。晩年には自伝や人生について書いた文章でも注目されています。
一度作家として成功して、それだけを続けた人ではないのですね。人生の時期ごとに新しいことを始めています。
そう考えると、『ブラッサム』は若いころに才能が一度開花するという意味より、年齢を重ねても何度も新しい花を咲かせた宇野千代の人生を表す言葉にも思えてきます。
宇野千代の生涯についてはこちらでも紹介しています。

なぜドラマでは「桜」が使われているのか?
『ブラッサム』の単語の意味は「咲く」ですが、番組の中ではかなり意図的に桜が使われています。どの花でもいいというわけではなさそうです。
これにも理由がありそうです。
宇野千代は桜が好きで桜を題材にした着物なども手がけました。特に岐阜県の淡墨桜との関係はよく知られています。宇野千代といえば桜を思い浮かべる人もいるほどです。
しかも英語では桜は「cherry blossom」といいます。
つまり『ブラッサム』という言葉には、人の才能や人生が花開くという意味と、宇野千代を象徴する桜の両方の意味があるようです。
タイトルを「ブラッサム」にして、作品を象徴する花として桜を使うのは宇野千代をモデルにした朝ドラだからこそできる組み合わせのように思います。
ロゴやポスター、オープニングにも桜が咲いている
「ブラッサム」関連のビジュアルには様々なところで桜が使われています。タイトルロゴにも描かれ、ポスターでは主人公・葉野珠とともに大きく使われ、オープニングにも満開の桜が登場します。
若い葉野珠が自分の生き方を見つけ、作家になり、人生の中でさまざまなことに挑戦していく。そして晩年には自分の経験や言葉を通して誰かに「幸福の種」を渡していく。
ロゴやポスターに咲いている桜は、そんな珠の人生を象徴しているのでしょうね。
主題歌「咲き誇れ」も『ブラッサム』につながっている
YOASOBIが歌う『ブラッサム』の主題歌タイトルも「咲き誇れ」です。
ドラマのタイトルは『ブラッサム』。制作側が込めたメッセージは「咲き誇れ、わたし」。さらに「咲き誇れ、あなた」へとつながり、主題歌も「咲き誇れ」。ロゴやポスター、オープニングには桜が登場します。
こうして並べてみると、作品全体でかなり徹底して「咲く」というイメージを使っていますよね。
だから『ブラッサム』は、主人公が成功するという意味だけではなくて、ドラマ全体のテーマを表現した言葉のように思えます。
「ブラッサム」というタイトルに込められた意味
ドラマのタイトルになっている『ブラッサム』は「咲く」という意味の単語です。
ヒロイン・葉野珠は宇野千代がモデルです。
制作側の「咲き誇れ、わたし」というメッセージと宇野千代が語った「幸福の種をまく、花咲ばあさんになりたい」という言葉を合わせて考えると、ドラマに込められた意味はヒロイン・葉野珠が作家として才能を開花させること。自分で人生を選び、何度も新しいことを始めること。そして自分の経験や言葉を通して、別の誰かにも幸福の種を渡していくことではないでしょうか。
だからタイトルロゴにも、ポスターにも、オープニングにも桜が咲いているのでしょう。
『ブラッサム』という題名には、自分自身の花を咲かせ、その生き方や言葉によって次の誰かにも花を咲かせるきっかけを渡していった、宇野千代の人生そのものが重ねられているのだと思います。
関連記事
朝ドラ「ブラッサム」登場人物のモデル一覧!葉野珠の家族・夫・文豪は誰?
ブラッサム:葉野珠(石橋静河)のモデル 宇野千代とは?生涯・結婚・代表作を紹介


コメント